六甲味噌製造所の天然醸造みそを使ったフリーズドライ「六甲みそ」シリーズ【拡大】
■天然醸造ならではの味とコク
共働きや単身世帯の増加で調理の手間を省ける即席食品の需要が高まり、みそ汁もお湯を注ぐだけのフリーズドライが食卓の主役になりつつある。この分野は大量生産を得意とする大手メーカーの商品が大半だが、少量生産と手作りにこだわる六甲味噌製造所(兵庫県芦屋市)が参入。手作り、本醸造のみそを使った本格派「六甲みそ」シリーズで市場開拓に挑んでいる。
同社のルーツは1918年創業のみそ漬け物の老舗。全量手作業、本醸造のみそを提供してきたが、新たなチャレンジとして2004年、フリーズドライに進出した。味に徹底してこだわり、使用するみそは半世紀以上のロングセラー「手造のあじ」に決めた。大豆と米を同量仕込み、存分な甘みが味わえる逸品で、長谷川憲司社長は「最も味が安定し、フリーズドライに適していた」と話す。
こうしてフリーズドライの製造設備を持つ食品メーカーと共同開発を始めたが、思った味がなかなか出なかった。調べたところ、他の商品と同程度の量しかみそを使っていなかったという。「『手造のあじ』は塩度が低め。使用量を増やさないと、手造りの味の良さが出ない」と長谷川社長。改良を加え、天然醸造ならではのコクと風味を引き出した。
さらに具材も監修。基本的に国産食材を使い、量をできる限り増やした。タマネギは国産にこだわった。水気が多くフリーズドライにすると溶けやすくなるが、独特の甘みが味わえる。
構想から2年を経て、初商品の「なすび」と「なめこ」を発売。「たまねぎ」「まいたけ」が加わり、現在4種類のラインアップだ。高級品として売り出し、低価格が主流のフリーズドライとしてはやや高めの1個147円。