消費税率引き上げ初日の1日、日本百貨店協会が発表した百貨店大手の3月の既存店売上高(速報値)は、J・フロントリテイリングと高島屋が前年同月比で3割超伸びた。三越伊勢丹も同24・2%増と、昨年3月の伊勢丹新宿本店の改装効果が一巡したにもかかわらず、前年を大きく上回った。
前回の増税直前にあたる平成9年3月の百貨店売上高は同約23%増で、今回の駆け込み需要はいずれも前回を上回る。大手3社とも「予想を上回る伸び率」だっただけに、今後の反動減への懸念は根強い。
4月は駆け込み需要の反動減で、各社は前年比でマイナスになると予想。集客策を強化して早期の売り上げ回復を目指す構えだ。
J・フロントは「夏物のセールが始まる7月にはプラスに回復させたい」と説明。三越伊勢丹HDは「都心店は回復が早いが、地方店は時間がかかるだろう」との見方を示した。
百貨店以外でも、イオンの岡田元也社長が「3月の(売り場は)テンションが上がりすぎ」と表現するほど、駆け込み需要の反動減は確実な状況だ。
一方、イトーヨーカ堂のイトーヨーカドー木場店(東京都江東区)は、1日正午までの客数が前年同日を上回った。プライベートブランド(PB、自主企画)商品などで価格据え置きや値下げが受け入れられた形だ。(平尾孝、松岡朋枝)