「フレスポ飛騨高山」にある「街の縁側」。住民同士の交流やイベント開催を目的に設けた=岐阜県高山市【拡大】
■コミュニティー形成重視戦略
大和ハウス工業グループの大和リースは、郊外型の「フレスポ」や都市型の「BiVi」(ビビ)を中心に、全国約140カ所で商業施設を開発・運営している。事業戦略を進めていく上で重視しているのが、地域コミュニティーの形成だ。
古い街並みが残り、年間400万人の観光客が訪れる岐阜県高山市。大和リースは家具工場の跡地を活用したショッピングセンター「フレスポ飛騨高山」を運営している。周辺の景観に溶け込むように町屋をイメージしたデザインの建物が特徴だ。その一角に、大和リースの街づくりに対する考え方を具現化した空間「街の縁側」がある。
インターネット通販の普及によって、単に物販機能を持たせただけでは客が訪れなくなる。そんな危機感を抱いた大和リースは「物を売るだけではなく“事”を起こす場所が必要」(森内潤一取締役)という考えに基づき、住民同士が交流したりイベントを催す場として「街の縁側」を設けた。
タッグを組んだのは、地域づくりのNPO法人(特定非営利活動法人)「ソムニード」。地域活性化へのフレスポ飛騨高山の取り組みが評価され、昨年の「日本パートナーシップ大賞」では優秀賞を受賞した。
街の縁側に代表される「まちづくりスポット」(まちスポ)という取り組みは新しい施設にも順次導入されている。例えば昨年12月にオープンした「BRANCH(ブランチ)神戸学園都市」(神戸市垂水区)では、地域住民の来店頻度が高まるように、コミュニティー型複合商業施設を売り物としている。その鍵を握るのが「まちづくりスポット神戸」。地元のNPO法人が運営し、地域交流の手伝いや講座の開設、情報の発信などを行うことで、まちづくりをサポートする。