■在日外国人、介護施設ヘルパーに
日本に住む外国人を介護施設にヘルパーとして紹介・派遣するAXCY(アクシ)は2008年、神戸市で産声を上げた。フィリピンやインドネシアから介護士候補を受け入れるためのEPA(経済連携協定)発効に先んじた取り組みだ。社名の由来は日本語の「握手」。代表の元地裕子さんは「持ち前のホスピタリティーを生かし、本人にも介護の利用者にも、ともに喜んでもらいたい」と語る。
◆適性発揮目指し
元地さんは以前、人材派遣会社に勤務。専門的なスキルをもつ人材を中小企業などに派遣する業務を切り盛りしていた。
しかし、経済のグローバル化につれ、正社員になれなかったため派遣社員として働く人が増え始めた。「以前はスペシャリストとして自分の知識、技能をスポット的に提供し、対価を得るのが派遣だった」と元地さん。いろいろな特長をもつ外国人が派遣の単純作業に甘んじる実態に疑問を感じるようになったという。
そんな時、日本に住むフィリピン人女性らと知り合う機会があった。地域になじみ、もてなしの心があり、明るい性格なのに職場は単純労働ばかり。彼女たちの適性を発揮できる介護の現場とマッチングできないかと考え、起業に至った。
フィリピンには「ケア・ギバー(介護士)」という職種はないが、本人が興味を示したため、近隣の介護施設に売り込みに回った。当初は職員からの反発や偏見に戸惑ったが、介護士やヘルパーの資格がなくても働ける施設で熱心に説明し、次第に理解を得られるようになったという。