自動車業界 消費増税の需要失速に対策相次ぐ

2014.4.23 18:50

東京日産自動車販売「新車のひろば目黒店」ではお得なキャンペーンをアピールしている=17日、東京都品川区

東京日産自動車販売「新車のひろば目黒店」ではお得なキャンペーンをアピールしている=17日、東京都品川区【拡大】

 消費税増税後の需要低迷を乗り切るために、自動車各社が営業のてこ入れに工夫をこらしている。販売ディーラーは5月の大型連休を巻き返しのチャンスとみて、下取り価格の上積みや海外旅行が当たるキャンペーンを実施。部品供給網の見直しに取り組むなど、収益基盤を再強化する動きも出始めている。

 「お客さまの数はガクッと減りましたね」

 東京日産自動車販売新車のひろば目黒店の小坂井修店長は肩を落とす。同社では4月に入り、来店客数が前年同期比で15%程度減少した。当面は車検前のユーザーを店に呼び込み、新車購入を勧める地道な営業活動を続けるしかない。

 期待を掛けるのが5月の大型連休だ。東京日産では6月1日までの期間限定で、下取り価格の上積みやカーリースの利用優遇などで最大25万円お得になるキャンペーンを展開。「チラシなど告知活動を強化して、お買い得車もたくさん並べる」(幹部)と意気込む。

 東京トヨペットでは28日までタイヤの空気圧やバッテリーなどを無料点検する「お出かけ前点検フェア」を実施。ホンダカーズは首都圏の販売店で6月末までに成約した人を対象にグアム旅行が当たるキャンペーンを始めるなど、各ディーラーとも来店客を増やそうと必死だ。

 メーカーも新車効果で盛り上げを狙う。トヨタ自動車は今月、一部改良した小型車「パッソ」「ヴィッツ」を発売。富士重工業も6月20日に新型ワゴン「レヴォーグ」を投入する。

 また、スズキは3月、純正部品の供給拠点「スズキ部品センター東京」を東京都町田市に設立した。部品販売は収益率が高いが、系列販売店は納期の遅さから大手カー用品店に顧客を奪われていると判断。直営部品センターを作り納期を早めることで、販売店の収益率を高める狙いがある。

 日本自動車工業会の予測では、2014年度の国内新車販売は前年度比15・6%減の475万台に落ち込む。大手ディーラー幹部は「この機会にお客さまとの絆づくりや営業体制を見直し、駆け込みに反応しなかった需要を掘り起こしたい」と話している。(飯田耕司、田辺裕晶)

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