■スタートアップの事業成長哲学 日本と違い
初めて日本に来て、国内で起業する人たち、その起業法、経営のノウハウについて学び始めたとき、私はあることに気付いた。日本で会社を創業する人の多くが、会社の上場前後を問わず、非常に高い持ち株比率を保っていることだ。それまでアメリカでは見たことがない現象だった。
◆通常は10%以下
例えば、かつて日本最大のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)としてその名を誇ったミクシィは、上場時に創業者の持ち株比率が64%だったし、三木谷浩史氏は楽天の新規株式公開(IPO)時に会社の50%を保有していた。アメリカでは、創業者がこのように過半数の株式を保有することは考えられない。
数十億ドル規模のインターネット企業が日本よりもずっと多いアメリカだが、会社が成熟期に達するころには、創業者の持ち株が全体の10%以下になっているのが通常だ。
例えば、Salesforce.com(セールスフォース・ドットコム)。マーク・ベニオフ氏の創業した、CRM顧客管理システムを提供する会社として、少なくとも名前はご存じの方が多いだろう。現在も会長兼CEO(最高経営責任者)である彼は、この会社の7%を保有しているにすぎない。もちろん、セールスフォースの評価額を考えると、その保有率でも、ベニオフ氏の子孫が働きたくなければ一生働かなくても済むほどの金額になるに違いない。
もう一つ、日本で大きな成長を遂げている顧客サポートシステムがZendesk(ゼンデスク)だ。ゼンデスクは、IPOを申請中であり、先週、米証券取引委員会に書類を提出したところだ。ここの創業者でCEOのミッケル・スヴェーン氏の、IPO後の持ち株比率はおよそ8%になる予定だという。