SNSアプリの「Wickr」のデモ画面。送信する写真やメッセージが自動消滅する時間を設定できるほか、送信内容が暗号化される(伊藤穣一撮影)【拡大】
■履歴残さぬアプリ「Voycee」注目
交流サイト(SNS)のフェイスブックが初めて日本に紹介されたとき、日本で生き残るのは無理なのでは、という疑いを口にする人がいた。日本人は、実名登録に抵抗のなかった西洋人とは違って、ミクシィのような半プライベート空間での交流を好むから、というのが理由だった。こうした当時の疑念にもかかわらず、フェイスブックは国内でも順調に成長を続けてきた。
一方の西洋、特に米国内ではエドワード・スノーデン氏の告発を受けてこれまでより多くの人がプライバシーを気にかけるようになり、SNS業界の潮目が変わったといえる。決められた時間を過ぎると写真が消えてしまうメッセージアプリ、スナップチャットは若者の間での人気もさることながら、巨額の買収提案でも知られるようになった。
最近私が関心を持っているサービスに、「Wickr」(ウィッカー)というセキュリティーのプロが手掛けたアプリがある。送信する写真やメッセージが自動消滅するまでの時間を設定できるだけでなく、送信内容に暗号化が施されるため、テレコム企業など、送信者と受信者の間の誰にも中身を見られる心配がない。
私はこのサービスを気にいったが、恐らくセキュリティーに関心が高い一部の人向けということになるだろう。とはいえ、プライバシーの保証が業界の主流になるなかで、このほどウィッカーは900万ドルの出資を得ることに成功した。