ベースキャンプ「SPASPORTRESORT」での初練習に臨む本田圭佑。手前は大久保嘉人=9日、ブラジル・サンパウロ州イトゥ【拡大】
□帝京大学非常勤講師・宮田正樹
FIFAワールドカップ・ブラジル大会がいよいよ開幕する。開幕まで1週間あまりとなった本稿の執筆時点においても競技場やホテルの建設の遅れが伝えられ、国民の反対運動もおさまっていない状態だが、案ずるまでもなく大会は開催されて熱狂が渦巻くことだろう。
◆規制法の制定要求
大会開幕を1年後に控えた昨年6月10日、FIFAは、ブラジル大会に関連して、「法的保護のある用語やロゴをFIFAの許可を受けずに使用したとしてFIFAが対応した企業の数が、過去半年間で約100社に上った」と発表した。そして「これまでのところ、すべての事例は解決できている」とし、侵害行為の大半は中小企業によるもので、法的手段には訴えなかったと述べている。
公式スポンサーでないにも関わらず、ワールドカップやオリンピックといった世界的なイベントに便乗して、自社の宣伝や販促活動を行うことをアンブッシュ・マーケティングという。
ブラジル大会にあたって、FIFAとブラジルの組織委員会は、コカ・コーラなど20社とスポンサー契約を結んでおり、その契約料は、金銭とサービスの提供を合わせて14億ドル(約1400億円)になるといわれている。
主催者であるFIFAは、多額の投資を行った公式スポンサーを守るために、アンブッシュ・マーケティングを阻止しなければならない。FIFAは、「FIFA WORLD CUP」など基本となるマークのほか、「BRASIL 2014」といった大会に関する文字やロゴなど多くの登録商標を保有している。これら商標権の行使や日本でいう不正競争防止法による保護などを駆使するほか、開催国にアンブッシュ・マーケティング規制法の制定を求めるなどして対処している。ブラジルの場合、規制法として「法令第12,663」が12年6月に制定されている。