津軽三味線を演奏する松田隆行氏【拡大】
今回の主人公は松田隆行氏。青森県八戸市に生まれ、2歳で両親とともに津軽民謡の巡業に同行し初舞台。民謡歌手を目指すが、13歳の変声期を転機に三味線を始める。20歳から岩手県盛岡市の建築会社に勤務する一方、趣味の一環として民謡と三味線は続ける。NHK東北民謡コンクール岩手県大会において1994年から4年連続最優秀新人賞を獲得。95年の第10回南部牛追い唄(うた)全国大会において史上最年少の最優秀賞を獲得した。2002年には、津軽三味線全国大会で大会史上初の最上クラスA級3連覇を達成した。
これらの偉業を機にサラリーマンを辞め、退職金を元手に「謡樂堂」を立ち上げ、津軽三味線の実演ならびにステージのコーディネート、三味線、民謡の講習を始めた。演者としてステージに立つ一方で、事務処理から営業、PR活動まで1人でこなしたが、対面営業が苦手で失敗も多々あった。
「芸人とは!?」と自問自答。芸だけできてもダメ、人柄が良いだけでもダメ、芸と人間性のどちらもできていないと務まらないものだと学ぶ。以来、まず営業活動で「人」を見てもらい、気に入って頂き、その信頼の延長線で舞台を任せてもらうという流れを目指す。
「敵に塩を送る」上杉謙信をロールモデルにしているだけあって「義に厚い」。人間関係においても確固たる信頼感を醸成している。「成せば成る、成さねば成らぬ何事も」を信条に、「稽古は厳しく、ステージ(本番)は楽しく」を体現する。
本気とは「何ものにも惑わされず、自分の信念を貫くこと」と定義付け、毎日、本気度を炸裂(さくれつ)している。