■資本市場支える社会インフラの責務果たす
--新理事長としての抱負は
「わが国初の監査法人を設立した太田哲三商学博士が記された『吾等は会計奉公の精神を堅持し企業財政の健全化による邦国経済の永遠なる繁栄に寄与することを本領とす』を実践したい。これは私の座右の銘だ。監査法人は資本市場を支える社会インフラだと考えており、日本経済の発展のために地域振興、海外進出サポート、起業家支援など手掛けるべきことは多い」
--監査法人は過当競争で経営環境は厳しい
「リーマン・ショック後に倒産やM&A(企業の合併・買収)が相次ぎ、企業の数が減ったことで監査業務の需要が縮小し、監査報酬の低下につながった。当法人では付加価値を高めることで差別化を図っている。会計監査にとどまらず、財務の専門家として顧客企業にアドバイスをする。顧客にとって耳の痛いことでも、社外最高財務責任者(CFO)のような立場で直言している」
--数年前まで公認会計士は就職難といわれていた
「総数を増やすという金融庁の方針で、2006年から3年間は大量に合格者が誕生したものの、同じ時期にリーマン・ショックで採用側が手控えるようになり、一気に就職難になった。11年以降は以前とほぼ同数の合格者数に戻り、就職難は解消されている。若い人は就職先の一つと捉えているようだが、社会インフラとしての責務を担うというプロ意識を持った上で、志してほしい」
--起業家の支援にも積極的だ
「ベンチャー支援は以前から手掛けている。技術とアイデアに優れているベンチャーは多いが、財務や組織管理が不得手ということが多い。講習会などを開いて創業期と成長期、さらなる成長を目指す段階まで対応している。創業当初から支援しているベンチャー企業が、日本を代表する大企業に育つことを期待している」