NTTドコモは今月下旬にも、東日本大震災の被災地の仮設住宅で、無人販売所の運営支援に乗り出す。住民がプリペイドカードを購入し、専用タブレット端末を使って自分で決済する「セルフレジ」のような仕組みを構築する。被災地だけでなく、「買い物弱者」を支援するシステムとして、全国の過疎地への導入も視野に入れている。
ドコモは売り上げや在庫を一元管理するためのアプリを開発。宮城県気仙沼市のIT企業「変幻自在」が今月下旬にも、市内2カ所の仮設住宅に開く無人販売所に、このアプリを搭載したタブレットを置く。店内にはこのほか、プリペイドカードの自動販売機やバーコード読み取り機器も設置する。
店では、トイレットペーパーや洗剤などの日用品のほか、カップ麺やスナック菓子といった生鮮品以外の食品を販売する。住民は気に入った商品を手に取り、バーコードと自分のプリペイドカードを機器で読み取って支払いを済ませる。
在庫が減ってくると、IT会社は地元のタクシー会社に商品の補充・陳列を依頼する。タクシー会社は商品補充のついでに仮設住宅や周辺住民への迎車サービスも行う。病院や役所に行きたい住民はタブレットを使って、タクシー会社に予約する。
被災地では、店舗の被災や高齢化により、「買い物弱者」に対する支援が課題となっている。ドコモの情報通信技術を提供することで、効率的な無人販売所の運営が可能になるという。岩手県釜石市の無人販売所にも導入する計画。ドコモの担当者は「被災地だけでなく、全国の過疎地での応用も期待できる」としている。