三井物産は21日、米化学大手のデュポンから農薬事業の一部を買収する契約を結んだと発表した。環境負荷が比較的低いとされる「銅殺菌剤コサイド」で、発表していないが100億円での買収とみられる。米国の農薬製造子会社の傘下に「サーティス・キュー」を設立し、事業展開する。
買収するのは、米テキサス州にある銅殺菌剤工場とブランド商標権や製造ノウハウ、全世界での販売権。アジアなどの販売権は5年をかけ、自社ネットワークを構築し、順次移管する。
地域別では、農薬分野の弱点だったアジアと中南米を強化する狙いがある。銅殺菌剤は、柑橘類や野菜などの農薬に使われる。2002年に買収したドイツの農薬メーカー、スピース・ウラニアを通じて欧州やアフリカで銅殺菌剤市場を開拓。今回の買収で、全世界の銅殺菌剤約900億円の市場のうち、計15%のシェアを握り首位になる。
三井物産は世界的な人口増を背景に食料や農業、肥料、農薬など関連産業を成長分野に位置づけ、部門を超えた連携を強化している。