黄色地に湯気が立つ赤の紅茶ポットがトレードマークの「日東紅茶」(当初は三井紅茶)が初の国産ブランド紅茶としてお目見えして80年あまり。家庭用紅茶市場の約4割を占める紅茶のトップブランドだ。一方、世界では成長市場だが、日本国内の紅茶市場はここ数年コーヒーなどに押され気味。今年7月に就任した柴沼隆之・三井農林社長は、「伝統を大事にしながら、紅茶市場に新たな息吹を吹き込みたい」とこの秋、巻き返しを狙っている。
--9月からのブランドリニューアルに込めた思いは
「歴史のあるブランドだが、トップメーカーとして、紅茶の持つ魅力をアピールして市場活性化につなげたい。定番商品の多くに、おなじみのロゴを入れ統一感をだし、オーガニック(有機栽培)シリーズやカフェインレスミルクティーの新商品も投入する。リラックスタイムや安心して子供たちにも、という女性のニーズに応えたい」
--国内紅茶市場で茶葉の4割弱の安定調達を担っている
「三井物産と協力して、年間約6000トンの茶葉をスリランカやインドなどから買い付けており、その規模は日本一だ。農薬や衛生管理を徹底した茶園や製茶工場からしか買い付けておらず、定期的に現地に出向き、安心・安全の品質管理のチェックも行っている」
--「日東紅茶」の強みは
「茶葉は、同じ産地でも収穫時期やその年の気候で味や香りが微妙に違う。航空便で届く年間約5万点に上る茶葉のサンプルを11人の鑑定士が、渋みや甘み、香りのバランスを利き茶し、軟水という日本の水の特性と日本人好みで、なじみのあるおいしいブレンドを再現している。最近インドのダージリンなど産地ごとの香りや味わいを体系化した。ソムリエの紅茶版のような普及活動を地道にやっていきたい」