■オーダーメード結婚式で業界革命
2年前に結婚式のプロデュース業を始めたクレイジーの山川咲さんは、パッケージプランが大半の結婚式に、完全オーダーメード型という全く新しい仕組みを持ち込み、業界の慣行に風穴を開けた。業界での勤務経験が皆無の状態から1人で会社を興し、業界の革命児と呼ばれるまでに至った山川さんだが、起業するまでの人生は挫折と葛藤の連続だった。
◆転機は豪州一人旅
3歳のころ、アナウンサーだった父親が会社を辞め、ワゴン車で日本一周の旅に出た。1年ほどいっしょに旅した後、千葉の片田舎に移り住んだが、環境になじめず疎外感を味わった。いつしか「どうすればみんなに認めてもらうのか」とばかり考えるようになり、大人になっても周囲の目を気にすることからなかなか抜け出すことができずにいた。
転機は大学卒業後に5年ほど務めた会社を辞め、豪州を一人旅した際に訪れた。流産を経験した直後で、身も心もボロボロだったが、1カ月の旅で長年の呪縛から解き放たれ、「初めて自分を認めることができるようになった」。同時に「自分の意思で生きる人を増やしたい」と起業を決意した。
日本の結婚式は、式場が用意したパッケージプランの中で、希望に一番近いものを選ぶのが一般的。利益確保のためできるだけ効率化し、大量に売りさばきたい式場側の思惑が優先されがちだ。
◆大半が異業種出身
これに対してクレイジーは「新郎新婦の人生を表現する」ことを目指し、コンセプトの段階から計画を練り上げる。料理や会場の飾り付け、演出まで一切をプロデュースするうえ、一貫したストーリーに沿って行われるため、挙式した新郎新婦からは「自分たちにふさわしい式ができた」と喜ばれている。