「過度の円安は悪影響」 急速な為替変動に警戒も (1/2ページ)

2014.9.5 21:57

 5日の東京外国為替市場で、円相場が約5年11カ月ぶりの円安となった。今春以降、値動きが乏しかった円相場だが、米国の景気回復期待の高まりなどで再び円安に動き出し、「年内に110円に達する」との予測も浮上している。円安は企業業績を押し上げるプラス要因だが、ここにきて「過度の円安は悪影響になる」と、急速な為替変動を警戒する声も出ている。

 自動車や電機メーカーなどの輸出企業では、円安は円建ての利益を押し上げる効果がある。対ドルで1円円安になると、トヨタでは年間の営業利益が400億円、ホンダで120億円押し上げられる。

 自動車大手が想定する今年度の平均的な為替レートは1ドル=101円前後。円安が進めば利益のかさ上げが期待でき、一段の円安は「歓迎」(大手幹部)だ。

 大和証券が主要200社について、円相場の業績への影響を調べた為替感応度調査では、7月以降、ドルとユーロに対して1円円安が進むと、平成26年度の経常利益が0.5%押し上げられる。1ドル=100円を前提にすると、製造業では増益率は8%だが、1ドル=110円になると18%に達する計算になる。

 ただ、円安は輸入品の円建て価格を押し上げる効果もあり、「食品やガソリンなど生活必需品の値上がりにつながれば、消費に悪影響を与える可能性」(大和証券の守田誠シニアストラテジスト)もある。

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