■アナログ半導体で欧米メーカーと勝負
パソコンから、スマートフォンやタブレットへのシフトが進む中で、半導体の市場が拡大している。一方、日本国内の半導体メーカーは、引き続き事業の再構築を迫られており、生き残りは厳しい。半導体デバイスの開発・製造を手掛けるトレックス・セミコンダクターの藤阪知之社長は「成長率の高いアナログ半導体市場で、先行する欧米メーカーと肩を並べたい」と意気込んでいる。
--国内唯一のアナログ半導体メーカーだ
「電源ICを開発・販売している。入力した電圧を出力するときに変換する『電圧レギュレータ』、出力電圧が常に一定となるように制御される『DC/DCコンバーター』、入力した電圧を監視し設定電圧以下となったときにアラームを出す『電圧検出器』の3点が主力商品だ。小型低消費電力を強みに、産業機器、デジタル家電、パソコン関連、車載関連などに搭載されている」
--工場設備を持っていない
「工場の稼働率を上げるために、過剰な価格競争を強いられることが多い。このため生産は委託した方が長い目で見て経営が安定する。半導体の生産は大きく分けてウエハー上に回路を形成する『前工程』と、パッケージへの搭載後、最終検査を行う『後工程』の2つに分かれる。後工程に関してだけは比較的投資負担が軽いので、ベトナムに4億円を投じて工場を設置した。後工程を自社で展開するのは、より小型化を求める市場ニーズに応えるためだ」