出展企業の担当者と話し込む来場者。グローバル化とともに新しい知財ツールが求められている=5日、東京都千代田区の科学技術館【拡大】
知的業界で国内最大級のイベント「特許・情報フェア&コンファレンス2014」が5~7日、東京都千代田区の科学技術館で開かれた。知財や特許に関連する会議やセミナーに加え、ツールやサービスが展示され、入場者は約1万8000人に達した。関心が高いのは、日本が産業競争力の行方を占う時代の分岐点にあり、知財がその大きな鍵を握るからだ。いまグローバル化を見据えたツールが求められている。
「市場や製造拠点、研究開発拠点のグローバル化とともに企業の知財戦略が大きく変わろうとしている」(都内大学院の知財担当教授)。従来の特許出願は国内の後に欧米、必要なら韓国や中国などの新興諸国という順番だったが、新興諸国の対象がアジアから東欧、南米、アフリカへと増えるにつれ、欧米を先行させ、その後に日本、新興諸国に出願する方式が広まりつつあるという。
この場合、まず必要になるのは各国・地域の出願関連法制度や特許データベースの情報だ。法制度に基づいた出願実務、英語や出願先の言語で書いた特許明細書、獲得した権利の維持管理や価値算定、研究者の労務・報償管理、情報漏洩(ろうえい)対策といったセキュリティー管理なども欠かせない。企業としては、これらをグローバルに統括・管理し、経営戦略と連動させなければならない。
普及している知財関連ツールは、国内特許データベースの検索、出願・権利情報管理などを中心に、分析・解析や業務ワークフロー管理などが加わる。国内ベンダーによる本格的なグローバル対応ツールは課題である。海外特許データベース情報が拡充されている程度だ。