富士フイルムホールディングス(HD)は11日、グループの富山化学工業が製造する抗インフルエンザ薬「アビガン」のエボラ出血熱への治療薬として、早ければ年明けにもフランスとギニアの両政府に承認されるとの見方を示した。緊急措置として「グローバル承認」(同社)という位置づけになる可能性が高く、必要とされる国・地域に提供されやすくなる。
ギニアには、300人分のアビガンが外交ルートで搬送中。フランスとギニアの両政府が60人程度を対象に治験を実施し、年内に完了する見通し。効果が認められれば、その後1カ月程度で承認される。世界保健機関(WHO)が関与することで、世界的に効果が認められることになりそうだという。
富士フイルムは、医薬品やライフサイエンスなどのヘルスケア分野で高い成長が期待できるとみる。同日発表した2014~16年度の中期経営計画では、内視鏡などの医療機器やバイオ医薬品受託製造の拡大を目指すほか、医薬品でもアビガンをはじめとする新薬開発を加速させて18年度以降に収益への貢献を果たす目標を掲げた。