タイ・バンコクのホテルで開かれた日本酒の会。多くの人が訪れ日本酒市場の可能性を強く感じることができた【拡大】
□平出淑恵(酒サムライコーディネーター)
タイ・バンコクの高級ホテル、ザ・オークラ・プレステージ・バンコク主催の日本酒の会が、酒類の輸入販売会社SCSトレーディング(バンコク)の全面協力の下、開かれた。民間主催では最大規模という、300人近い飲食店関係者や一般消費者が参加し大盛況だった。
SCSトレーディングは、2003年の設立。タイ国内で日本酒、焼酎、サッポロビールの輸入や卸・小売りを手掛け、主な取引先は約500軒に及ぶ。伊勢丹バンコク店、フジスーパー、マックスバリュ(イオン系)、モールグループ、バンコク・チェンマイ・シラチャ地区などの日本食を中心とするレストラン、ホテルなどだ。
代表の鈴木幸代氏の「人材育成からの市場開拓」という地道で誠実な取り組みに信頼を寄せる飲食店関係者も多い。今回も鈴木氏と親交のある同ホテルのヘッドソムリエ、マーク・ビットナー氏の尽力で、日本産の酒の祭典のために、高級ホテルの1つのフロア全てを使いきることができた。
昼間行われた飲食店関係者向けは言うまでもなく夕刻からの一般向けも、各ブースに人だかりができ、対応する蔵元たちが隠れてしまうほどにぎわった。
一般の参加費は1000バーツ(3520円)。現地の物価では日本の1万円相当にも感じる。それほどの費用を支払って参加する人の多さを見るにつけ、タイの日本酒市場の可能性を強く感じた。
来場者は日本酒や日本について大変興味を持ち、「どこの県のものですか?」「和食大好き」などと必ず声を掛けて蔵元たちとの交流自体を楽しんでいる様子も見てとれた。
タイは近年、日本向けのビザ発給要件を緩和したり、日本酒の関税を引き下げたりして注目を集めている市場だ。
このイベントは、タイ国民の親日度を強く感じることができ、それを長年育んできた多くの人たちに感謝の念を抱いた、心温まる機会となった。
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