【視点】編集委員・松岡健夫 大手の知財生かした中小新ビジネス (1/3ページ)

2014.12.16 05:00

 ■産学官金連携、地域活性化に寄与

 株式市場に新規上場する企業が今年、12月上場予定の28社も含めると77社となり、5年連続で増加する。活発な新規株式公開(IPO)は、成長を目指す元気な企業が増えている証拠でもある。上場で得た資金は、製品開発や設備増強など事業拡大につぎ込まれ、衰えたといわれる「ニッポン株式会社」の稼ぐ力を取り戻すのに必要な産業界の新陳代謝を促す。

 一方で、縮み志向の中小企業。特に疲弊する地方の中小企業は、新たな競争相手の出現にもかかわらず手をこまねいていれば退場を迫られることになりかねない。ここはライバル登場を刺激に変え、自慢の技術力と現場力を生かし新たな成長機会を創出する必要がある。そのための有力な武器となりうるのが、大企業が保有する未利用特許(開放特許)など知的財産だ。変革を求められる中小企業が生かさない手はない。

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 今月6日、東京・中野で「地域対抗『知財活用アイデア』プレゼン全国大会in東京」が開催された。富士通の開放特許を活用した新ビジネスプランを全国の大学生らが発案し中小企業に紹介、ビジネス創出の可能性を感じた中小企業は富士通とライセンス契約を結ぶ。両者を取り持つのが地元企業をよく知る地域密着の金融機関で、地元の自治体も事業化を後押しする。

 学生参加という新たな産学官金連携として興味深い。地方の中小企業が元気になれば地域活性化につながる。雇用も生まれ、税収も増える。

 プレゼン全国大会を主催した西武信用金庫の落合寛司理事長はあいさつで、「若い学生のユニークで既成概念にとらわれない発想が中小企業経営者にヒントを与え、そのビジネスモデルが実現すると大変大きな力になっていくだろう」と中小企業の経営革新や第2創業に期待を示した。

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