記者会見でデジタルフォント事業について説明するタイププロジェクトの鈴木功社長=2日、東京・大手町【拡大】
■独自書体武器に大手食い込み
スマートフォンやタブレットなどモバイル端末の普及によって、自由に変形し多様なイメージに合わせて文字の書体を変化させるデジタルフォントはブランディングツールとして内外の需要が増えている。
PDFフォーマット開発などで知られるアドビシステムズで書体事業の可能性を考えた鈴木功社長が2001年に「タイププロジェクト」を設立。デザイン誌『AXIS』専用に開発したフォント「AXIS Font」を提供した。その2年後には、ゴシック体に似た書体の太さや長体をきめ細かく18種にデザインした「AXIS Fontファミリー」の販売を開始した。
鈴木社長は「AXIS Font」について、「和文と英文が調和しやすく、媒体全体を組めるうえ、それまでの和文フォントにはなかった極細の『ウルトラライト』も開発した。情報空間の効率化が図れる長体設計も大きな特徴だ」と説明する。デジタル書体をアプリで長体変形させた場合は、縦が細くなり、横が太くなるのが普通だが、同社のフォントは長体でも縦横の線幅が同じ比率となっているため「読みやすくて美しい」(鈴木社長)のが特徴だ。
同社は「AXIS Font」をもとに、デザイン志向の強い外資系企業向けや自治体向けにもカスタマイズフォントを販売。「名古屋市の『金シャチフォント』や横浜市の『濱明朝体』などの実績があるが、2020年の東京五輪開催に向けて需要が期待できる」(鈴木社長)
今後の需要拡大を見込んで同社が2日に発売したのが「AXIS Font」の文字数や対応言語などを大幅に拡張した「AXIS Font ProN(プロエヌ)」だ。