「まるで乱気流に巻き込まれたようだ」
通貨安防衛のための緊急利上げでも止まらないロシア・ルーブルの下落のあおりを受け、投資家の買いが比較的安全な資産とされる円に殺到し、16日の外国為替市場の円相場は一時、1ドル=115円台に急騰。日銀の追加金融緩和後、短期間に1ドル=10円も下落した円安がウソのようなマネーの逆流に、大手邦銀の為替ディーラーは青ざめた。
原油を主要産品とするロシアは、1バレル=100ドル程度で国家予算を組んでいるとみられるが、足元はほぼ半値の50ドル台。夏場以降に進んだ原油価格の急落で国家財政が揺らぎ、ルーブルが売られた。
ロシアと同様の構図で、外貨収入の多くを原油などの資源輸出に頼る新興国の通貨は軒並み売られ、通貨安はノルウェーのクローネやメキシコのペソ、インドネシアのルピアなどにも拡大。インドネシア政府と中央銀行も16日、通貨ルピアの急落に耐えきれず、為替介入に踏み切った。
新興国の経済減速の影響は、貿易取引を通じて欧米や日本など先進国にも波及するとの連想から、世界の投資マネーは一気にリスク回避姿勢を強めた。