臨時記者会見で電気料金の再値上げについて説明する関西電力の八木誠社長=2014年12月17日、大阪市【拡大】
関西電力が4月の実施に向け、東日本大震災後2度目となる電気料金の値上げを認可申請した。申請した再値上げ幅は家庭向けで平均10.23%と大きく、2013年5月の9.75%に続き、わずか2年で単純合算で20%もの電気料金の上昇は、近畿経済圏の信認を失いかねない。自由化されている企業向けの値上げ幅はもっと大きくなる。
「会社の存続が危うくなる5期連続赤字は何としても避けねばならず、断腸の思いで決断した」
昨年12月17日の再値上げ表明の臨時記者会見で、八木誠社長はこう苦衷を吐露した。原発停止による火力燃料費の増大に苦しむ電力各社の中でも、関電はとりわけ厳しい状況にある。
◆債務超過の一歩手前へ
今年度末の純資産(単体)は、4期連続の赤字によって約6500億円まで毀損(きそん)する見通し。加えて繰延税金資産が約5000億円も積み上がっている。来年度には黒字化しないと、監査法人から取り崩しを迫られ、関電は債務超過一歩手前に陥る。それを避ける再値上げは、まさに“断腸の思い”の決断だった。しかし、八木社長の再値上げ表明には疑問が残る。
原子力規制委員会は同日、関電が安全審査を申請中の高浜原発3・4号機(福井県)、大飯原発3・4号機(同)の4基のうち、高浜2基について「合格内定」を出した。2基が予定通り11月に再稼働すれば、関電は来年度の5期連続赤字を免れる可能性が高い。