□アマノコーポレーション副社長・天野竜児
■パチンコ企業は社会的責任を負うべきだ
パチンコホール企業の巨大化が顕著だ。フィギュアスケート国際大会のリンクやボクシングのタイトルマッチのリングに企業名が大きく書かれているのを目にすると、パチンコに興味のない人でも、大きな企業であることはすぐ分かるだろう。企業を発展させ大きくしていくことは、経営者の喜びであり、目標である。パチンコ企業に限らず会社が大きくなり有名になると、企業名で客に安心感を与えられ、細かい努力よりも、名前がブランドになり、安定した収益を見込むことができる。どんな小さな企業でも、経営している以上は目指す所であろう。
一方、企業の成長に比例する形で社会的責任が求められる。いや求められるというよりも自動的に付いてくる。最近の例をあげれば大手ハンバーガーチェーンや即席麺メーカーでの異物混入騒動。大きな企業であるからこそ大きく報道され、社会的批判にさらされる。過失であっても、容赦なく批判の目にさらされ、企業運営にダメージを被るのが今の世の中である。
ではパチンコ企業はどうだろうか。パチンコホール関係者からは「不当にバッシングをされ過ぎている」という声をよく聞く。彼らは法律に従い公安委員会の許可を取り、正規に経営している。いわれなき批判なのだということである。確かに一理ある。では一般企業のように社会的責任を負っているのだろうか。
パチンコホールは風俗営業適正化法という法律のもとで営業している。これに違反すると指示処分、営業停止処分、営業取り消し処分などの罰則が与えられる。毎年相当数の企業が処分されていると聞く。しかし処分された企業名や違反内容は一般の目にさらされていない。なぜ不明なのか。それは警察が公表しないからである。つまり、営業取り消し処分を除いては、世間はもちろん、顧客はその事実を知ることなくそのパチンコホールに通い続けることになる。
そのような中で、パチンコ企業は社会的責任にさらされているといえるのだろうか。そういう意味では、社会から特異的に守られている業界だと言わざるを得ない。
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【プロフィル】天野竜児
あまの・りゅうじ 1972年大阪生まれ。近畿大学理工学部卒業。98年、経営コンサルタント会社アマノコーポレーションを設立し、現在に至る。日本メンタルヘルス協会で2年間心理学を学ぶなど、学問への好奇心は現在も旺盛。趣味は読書と旅行。