□ワールド・ワイズ・ジャパン代表LOGOSプロジェクト主幹 濱口理佳
2013年、全国の中堅印刷業者5000社以上で組織する全日本印刷工業組合連合会が、「業界別CSR認定制度」を立ち上げ、第一期の認定企業40社を発表した。このような業界別のCSR(企業の社会的責任)認定制度は全国初の取り組みだった。同制度は「全印工連CSR認定」の名称で、一定の点数を超えれば「1スター」「2スター」「3スター」の認定・表彰をするもの。ちなみに、この認定制度を始めたきっかけは、中小印刷業者の価格競争激化や廃業が進み、1970年のピーク時に1万2000社近くあったのが98年に1万社を切り、近年では半分近くに減少。CSRを通じた中小企業の経営品質改善が急務であるとの判断が背景にある。
一方、横浜市やさいたま市、宇都宮市などの自治体も「CSR認証制度」を作り、地域活性化に向けた取り組みの一環として始動させている。さいたま市の制度を例に取り上げると、2013年度に発刊された「CSRチェックリスト(第2版)」がある。これは全国で初めて地方公共団体が直接発行する中小企業のCSR促進に向けた解説書で、そこには、いわゆる理想論ではない、日常の取り組みをCSR活動に生かすという実現性を重視した視点でその取り組みポイントが記されている。なお「さいたま市CSRチャレンジ企業」に認証されると、市がCSR経営のさらなる向上支援を通じて、地域経済の持続可能な発展や産業のイメージアップなどを図るという。