水揚げされたクロマグロ【拡大】
□クロマグロ加工・販売事業支援
■冷凍保存し価格変動に合わせ出荷
「漁師の生活のため、魚価を少しでも高くしたい」。6次産業化事業を手掛ける「あおもり海山(かいさん)」(青森県深浦町)を立ち上げたホリエイの堀内精二社長は、こうした思いを強く持っている。新たな流通システムでは漁業者が魚の価格をコントロールすることが可能で、魚価を高める効果も期待できる。
水揚げされたクロマグロなど魚の価格は需要に加え、その日の漁獲量にも左右される。うれしいはずの大漁が魚価を下げるという皮肉な結果も招きかねないのだ。また、定置網漁は魚の回遊状況次第で漁獲量が決まってくる。魚群探知機で魚影を追いかける巻き網漁と異なって過剰漁獲にはなりにくく、持続可能な漁法といわれるが、その代わりに毎日の漁獲量の変動も大きくなる。
「冷凍保存が可能になれば、魚市場からの鮮魚の需要に応えながらも、市場価格が低いときには、あおもり海山が買い付けて冷凍して在庫として保管し、市場価格が上がったときに出荷することができる。あおもり海山が市場から買い付けて在庫調整を行うことで、浜値(産地市場の価格)を引き上げることにもつながる。そうすれば、深浦地区全体の漁師たちの収入が向上することになる」(堀内氏)
あおもり海山白身も市場価格や需要の変動、漁獲量に大きく左右されず、安定的な事業展開が可能となるわけだ。