地球温暖化に伴う自然災害に備えたり、農産物・生態系への被害、人の健康への悪影響を減らしたりする環境ビジネスが熱を帯びてきた。政府は今夏、温暖化による影響への低減策を盛り込んだ「適応計画」を策定する運びで、これを先取りした。企業の温暖化対策は省エネや技術革新を通じた従来型の温室効果ガス削減から、温暖化の影響を和らげる「適応ビジネス」へと裾野を広げている。
56項目で解決手法
中央環境審議会(環境相の諮問機関)は今年3月、適応計画のベースとなる、気候変動による影響について報告書をまとめた。56の影響項目のうち緊急性が高く、かつ重大なものは、洪水・高潮、コメ・果樹の不作、熱中症や死亡リスク、(動植物の)分布・個体群の変動など22項目に上る。「適応計画では、各影響項目に対して解決手法を示す」(環境省地球環境局の竹本明生研究調査室長)という。
死者74人を出した2014年8月の広島土砂災害などの激甚災害や小規模災害の発生件数は同年、3年ぶりに1000件の大台を超えた。温暖化がもたらす自然災害への対応では、民間企業の適応ビジネスが先行して走り出している。