業績の回復を受けて、製造業が国内工場を増強する動きが相次いでいる。最新の生産技術を確立して海外に移す「マザー工場」化の推進や、老朽化した工場の設備更新に投資するケースが目立つ。最新ロボットを導入し生産の自動化技術の開発や工場の省エネ化にも力を入れている。
スマートフォン向けの電子部品を製造するTDKは約250億円を投じ、秋田県内の2工場に新棟を建設する。ここで生産の自動化技術を開発し、海外拠点にも広げる。内視鏡を製造するオリンパスは今年度の設備投資額を前年度比4割強増やす。青森工場に新棟を建設しマザー工場の機能を持たせるという。
このほか、住友重機械工業やケーヒン、オークマ、クボタも国内既存工場への投資を増やしマザー工場の機能を強化する。
産業用ロボットを製造・販売する川崎重工業の橋本康彦ロボットビジネスセンター長は「国内での引き合いが多く、特に製造ラインの省人化でコストを削減する動きが目立つ」と指摘する。業績回復に自信を持てなかった企業が国内工場に投資する環境が整ってきたようだ。