【高論卓説】市場は経営環境の構造変化先読み 中西孝樹 (1/2ページ)

2015.6.11 05:00

 ■円安メリット減る自動車収益

 自動車業界の先月の決算発表で鮮明になったのは、近年にない為替影響の変化だった。ドルに対する円安が進行しているにもかかわらず、円安メリットが目にみえて減衰し始めている。

 2016年3月期業績予想で、主要8社合計の営業利益は5兆2930億円(前期比6%増)と、安定的でまずまずの増益計画を確保したが、トヨタ(同2%増)、ホンダ(同2%増)、マツダ(同1%増)はおおむね前期並みの営業利益予想しか掲げられなかった。

 当然、会社計画は保守的だ。しかし、ドル円以外の通貨の為替相場による減益要因が非常に大きく、特に、ドルに対するカナダドル、ブラジルレアル、メキシコペソなどのクロスレートの悪化、ドルに連動するタイバーツの上昇が利益を圧迫する。

 為替の業績への影響度合いを“為替の感応度”というが、要は売り上げの通貨とコストの通貨のギャップである。売り上げの通貨が上昇すれば増益であり、コスト通貨が上昇すれば減益要因だ。従来は、主要売り上げがドル(=米国販売)、主要コスト通貨は円(=国内生産)という単純構造。円安=ドル高は直に増益要因となった。ところが、海外生産がグローバル化され、かつ異常なまでの「ドル独歩高」というひずみが生じた結果、通貨のクロスレートが複雑に影響し、円安=増益要因とはいえなくなってきている。

 分かりやすい例は、メキシコ、タイにおける生産拡大だ。異常な円高への対応として各社がしのぎを削って新工場建設に向かったのが、この2カ国。ところが、タイバーツはユーロや円に対して過去1年で20%以上も上昇し、今や、日本で製造した方がコストが安いとすらいわれる。異常なドル高の結果、メキシコペソ、ブラジルレアル、カナダドルは著しく下落し、これらの地域ドルコストは上昇し、コスト競争力が失われている。

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