とぎ汁出ない無洗米生産でヘドロやCO2排出量削減 (1/2ページ)

2015.6.29 05:00

東洋ライスの雜賀社長

東洋ライスの雜賀社長【拡大】

  • 秋篠宮同妃両殿下ご臨席の下、第24回「地球環境大賞」授賞式で環境大臣賞を授与される雜賀慶二・東洋ライス社長(左)=4月9日、東京・元赤坂の明治記念館

 ■東洋ライスが「地球環境大賞環境大臣賞」受賞

 「とぎ汁が一切出ないBG無洗米の生産でヘドロやCO2排出量を削減した」実績が認められ、無洗米のパイオニアである東洋ライスがフジサンケイグループ主催の第24回「地球環境大賞」で環境大臣賞を受賞した。BG無洗米のBGとは、Bran(ヌカ)でGrind(削る)の頭文字から取ったもの。15年以上の歳月をかけて1991年に開発、92年に稼働した。

 「全国で約100台もの大型ダンプカーに山積みされた肌ヌカ(その中にはドラム缶約200本の油が含まれている)が毎日、水路に捨てられている」-。東洋ライスの雜賀慶二社長は、社長就任以前の70年代前半、とぎ汁に含まれている汚泥の原因を突き止めた。下水処理をしたとしても、最も汚染力のあるリンやチッソがほとんど除去できないだけでなく、回収された汚泥の焼却、曝気槽への送気などに大量のエネルギーを消費し、直接および間接的に大量のCO2を排出することも知った。さらに下水処理施設のない水域ではもっとひどく、水中の大量の汚泥物質はやがてヘドロと化して悪臭を放つ。これを解決するには、「汚染物質を海に流さないこと」との発想から、不可能といわれてきた無洗米の開発に着手した。

 BG無洗米の稼働以降、削減した汚泥(米のとぎ汁がヘドロ化した状態)は54万トン、CO2削減は33万トンにも及ぶ。BG無洗米を製造する際に回収される肌ヌカ(水に流すとヘドロになる)は、「米の精」という商品になり、有機質肥料や飼料として循環型農業に有効利用されている。亜糊粉層を残して旨味と栄養価を両立させた白米である「金芽米」(2005年開発)や、玄米のロウ質を均等の厚みでカットすることで白米と同様の食べやすさを実現した「金芽ロウカット玄米」(15年3月発売)も無洗米であり、環境汚染防止を推進している。

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