第2回世界若者農業サミットへ向け「思い」を語る高尾育穂さん=東京都千代田区【拡大】
独化学・製薬大手バイエルの農業関連部門、バイエルクロップサイエンスが24~28日、オーストラリアのキャンベラで開く第2回世界若者農業サミットに、福島県在住の女性が参加する。NTT東日本福島法人営業部門の高尾育穂さん(25)で、「サミットを通じて、ありのままの福島を世界に伝えたい」と抱負を述べた。
東京出身の高尾さんが入社したのは2014年4月。初任地である福島県内の自治体や企業に対し、通信分野のソリューション(課題解決)の提案営業を担当する。農業分野では、産地直売所の売り上げをリアルタイムで把握し、販売計画の立案に役立つサービスも提案する。
高尾さんは「このサービスを活用すれば、生産農家にも売り上げ情報が配信されるため、生産農家の出荷計画にも役に立ち、生産への意欲も向上できると思う」と力説する。
一方、福島県は県を挙げて、農業などの第1次産業に付加価値をつけて高度化を図る「第6次産業化」に力を入れている。その福島で11年3月、東日本大震災による東京電力福島第1原子力発電所の事故が起きた。
「世界の人にとり、福島といえば、あの映像でしか知らない。世界的な食糧不足、後継者難、6次産業化など、福島の農家の取り組みの紹介を通じ、ありのままの福島を伝えたい」
会議には、福島の若者が企画した農作業体験ツアー、農家でのビアガーデンの様子などの写真や動画も持ち込む。
「世界中の参加者から、課題解決につながるアイデアを一つでも多く持ち帰りたい。農業分野のICT(情報通信技術)を通じ、課題解決の手伝いができれば」と期待を込めた。(松村信仁)