【Bizクリニック】関東大震災から学ぶミクロ対策の重要性 (1/2ページ)

2015.9.1 05:00

 ■地域防災支援協会 代表理事・三平洵

 きょうは防災の日である。1923(大正12)年9月1日に関東大震災が発生し、10万人余りが亡くなるとともに、火災を中心に30万棟以上が建物被害を受けた。明治維新以降の近代日本において、首都圏に最も大きな被害をもたらした地震災害であり、当時の国民総生産(GNP)の35~45%に相当する45億~55億円の損失があったと推計されている。改めて関東大震災から企業が何を学ぶべきかを明らかにしたい。

 関東大震災の発生当時、東京は紡績業が盛んであり、現在の中央区、台東区、墨田区を中心に生産活動が行われていた。それらの地域にあった工場はおおむね早期に復旧しているものの、工場の建物や製造機器に大きな被害を受けた企業は再建を断念し、廃業や移転を余儀なくされている。

 中央防災会議の「災害教訓の継承に関する専門調査会」がまとめた「1923関東大震災-第3編 復興と社会的インパクト」によると、工場の生産額は震災発生3年後の26年時点で震災前に戻った。しかし、労働者は震災前の人数まで回復しなかった。これは、復旧により設備の更新が進んだことで、生産力が向上したことを示している。一方、それができなかった弱小企業は、その後の競争に勝てず、廃業に追いやられた。このように災害は企業淘汰(とうた)の側面を持つが、これらのことは報告書では触れられていない。

 これらから学ぶべきことの一つは、マクロの視点だけでなく、個人や地域レベルのミクロの視点で物事を捉えていく多角的な視点の重要性である。特にミクロの視点を持つためには、いざ災害が発生した場合、自社だけでなく、ステークホルダー(利害関係者)となる株主やクライアント、社員や地域社会にどのようなことが起こるかを予測し、それに対して防災上どのような対策が必要かを考えなければならない。

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