中小企業がメード・イン・ジャパンの技術の強みを生かし、海外顧客を開拓する動きが活発化している。国外への生産移管が進んでいる領域でも質の高さを武器に国内製造にこだわり、ファンを獲得している点が特徴だ。政策金融機関でも、こうした動きを後押しする施策を相次いで採用しており、優れた製品力で自社ブランドの確立を目指す。
個性的で高品質
海外向けの売上高が2013年度の1000万円未満から、15年度には1億円の大台突破が確実な鋳物ホーロー鍋がある。愛知ドビー(名古屋市中川区)が製造・販売する「バーミキュラ」だ。
同社の本業は、船舶や建設機械部品の鋳物加工。しかし、08年のリーマン・ショックを契機に発注元からのコスト削減要求が厳しくなり、下請け体質からの脱却を模索。自社の技術を生かせる独自商品として鋳物ホーロー鍋の製造を思い立ち、10年から販売を始めた。