スリールは、大学生が将来の仕事と育児の両立を考える家庭内インターンシップ「ワーク&ライフ・インターン」事業を展開している。
仕事と子育てを体験したい学生は、受け入れ家庭で子供の世話をし、保護者からは、仕事の話を聞き将来の進路について相談に乗ってもらうのが仕組み。学生は育児と仕事の両立を学び、受け入れ家庭は子育て支援を受けられる。堀江敦子社長は「長期的に少子化対策にもつながるソーシャルビジネス」と、ベビーシッターの領域を超えた事業だと強調する。
◆母親の現実に愕然
大学卒業後に就職したマーケティングリサーチ会社で、職場のワーキングマザーを取り巻く厳しい現実に愕然(がくぜん)としたのが起業のきっかけとなる。定時までしか勤務できないため正当に評価されず、「子育てしながら働きづらい」との声が相次いだ。
同期入社の50人に「子育てをしながら働きやすい職場環境をつくろう」と呼びかけると多くの賛同を得た。しかし、一緒に行動する人はいなかった。忙しい日々の業務の中でみんな自分のことで精いっぱいだった。
「若い世代が声を上げて変えなければ、自分が子育てをするときには遅い」と危機感を抱くようになる。どうすればいいかを考え、これからを担う大学生に育児体験をしてもらい意識を変えることが必要と判断し、25歳のときに起業する。
スリールの「ワーク&ライフ・インターン」では、学生は2人1組で同一の家庭を月6回訪問し、4カ月間担当する。継続することでその家庭との信頼関係を深めるためだ。
保育園へ迎えに行き一緒に遊んだり、食事をさせたりすることを通じて子育て体験をする。両親の帰宅後は、仕事の話や進路などに対して助言をしてもらう。受け入れる側にとっては、学生と話をすることで、自分の仕事に対する思いの強さを再認識し、モチベーションアップにもつながる。