□産経新聞経済本部編集委員・芳賀由明
総務省は19日、携帯電話料金の引き下げを検討するタスクフォースの初会合を開く。いうまでもなく、安倍晋三首相が先月中旬の経済財政諮問会議で「携帯電話料金の家計負担の軽減は大きな課題」と発言したことが発端だ。アベノミクスの実効度合いや課題を推し量る場で、一国の首相がことさら携帯電話料金をやり玉に挙げたことで、さまざまな臆測を呼んだ。携帯電話料金は本当に高いのか、引き下げで個人消費拡大につながるのか。携帯電話大手には、消費拡大効果が思うに任せないアベノミクスの人身御供にされたとの意識も強い。
とはいえ、首相発言を受けて通信行政を所管する総務省の動きは素早く、諮問会議後の週明けの閣議後会見では高市早苗総務相が検討のための有識者会議を設置して年内に一定の結論を出すと表明した。
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業界の反応は複雑だ。米アップルの「iPhone(アイフォーン)」新モデルの発売イベントが開かれた9月25日。イベント会場に駆けつけたNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの携帯電話大手3社社長は、首相発言の受け止めを聞かれ、一様に戸惑いといらだちの表情を浮かべた。国に電波を借りて事業展開する規制業種だけに、政府に面と向かって異を唱えることの少ない携帯電話事業者だが、この日の社長コメントは異例ともいえる内容だった。