■アジア中間層にEコマースで切り込む
--資源価格が下落する中、投資戦略をどうする
「当面、資源価格の回復は難しい。優良資産も簡単には市場に出てこないと思うが、チャンスを探りたい。地域的には、ロシアは中長期的に外せない。国営石油のロスネフチとは継続協議中の案件もある。資源国のアルゼンチンにも注目している」
--次期中期経営計画の柱は
「次世代収益育成に向け、3カ年で1兆円強の投資を行っていく。一方、稼いだ範囲内で財務の健全性も両立させる。この10年で投資した案件の果実化も進め、稼ぐ力をつけたい。最大の柱は海外の成長をどう取り込むかだ。米国の農業資材の需要拡大で成長する農薬のヘレナや火力発電所の運営、タイのタイヤチェーンでの販売など、成功事例を増やしたい」
--新規に取り組む分野はあるか
「アジアは分厚い中間層が生まれ、消費にどう切り込むかが課題だ。Eコマース(電子商取引)で物流や一部の決済機能、販売金融などを組み合わせたい。ヘルスケアも課題だ。アジアで日本の医療プラント輸出や現地資本と組んだ病院事業などを検討したい」
--国内外の電力事業はどうなる
「温暖化対策の国際会議で、日本が強みを持つ高効率の石炭火力建設は規制対象外に落ちついた。政府系金融支援を得て、インドネシアやフィリピンなどアジアで受注を伸ばしたい。一方で、国内は電力自由化とはいえ需要が拡大するわけではない。原発の稼働や東西の電力融通の課題も考慮し首都圏向けの電源開発などを注意深く進める。小水力発電もチャンスがあれば拡大したい」