【高論卓説】自動車産業、経営は“転換期” (1/3ページ)

2016.2.12 05:00

 ■8社合計営業減益、追い風やみ脆弱に

 乗用車8社の2015年度第3四半期(15年10~12月期)連結決算が出そろった。8社合計の営業利益は1兆3811億円にとどまり、前年同期から1%減少した。自動車業界の収益成長に急ブレーキがかかっている。

 15年は米国新車販売台数が過去最高を更新し、平均ドル円レートは121円と02年以来の歴史的な円安水準にあったにもかかわらず、足元の収益性は既に警戒信号がともった。

 自動車業界は11年度第4四半期(12年1~3月期)に増益に転じて以来、その後の円高是正効果を享受して2桁増益を続けてきた。しかし、ここにきて16四半期ぶりに減益転換となる現実が示す意味は重大だ。

 トヨタ自動車、ホンダ、マツダの減益決算組に対し、日産自動車、富士重工業、三菱自動車などは2桁の増益基調が続き、各社の業績はまだら模様。ただし、円高に転じた為替レートや、厳しさを増す新興国経済を考慮すれば、好調組の変調もそう遠からずだろう。

 各社は減益要因として、新興国経済の減速を受けた販売台数の鈍化、新興国通貨安を受けた円安メリットの低減、エアバッグ関連など品質コスト、そして人件費や研究開発費増加に伴う固定費増を挙げている。

 タカタ製インフレーターのリコール問題が再燃していることは、業界にとって頭痛の種だ。当第3四半期だけで、推定800億円もの一過性費用が減益要因になったとみられる。衝突時にエアバッグを膨らませるガス発生剤である「硝酸アンモニウム」の信頼性は失墜した。

 問題となっている乾燥剤のない硝酸アンモニウム製のインフレーターのうち、破裂リスクが確認でき、リコールを実施した台数は全体の半分強にすぎない。つまり問題はまだヤマ場を越えたとはいえない。

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