インタビューに応じるナノフュエルの松村健彦社長=川崎市川崎区の同社【拡大】
□ナノフュエル社長・松村健彦さん
環境ベンチャーのナノフュエル(川崎市川崎区)は昨年8月、環境省の委託業務「2015年度アジアの低炭素社会実現のためのJCM(2国間クレジット)案件形成可能性調査事業」に日本工営、川崎市、荏原製作所などと提案したミャンマーでのプロジェクトが採択された。ナノフュエルはこのプロジェクトに、独自開発してきた液体バイオマス発電事業で参画する。液体バイオマス発電について、松村健彦社長に聞いた。
◆植物油でエンジン動かす
--液体バイオマス発電事業を始めるきっかけは
「10年ほど前、インドネシアの財閥で主にパーム油生産を手がけるシナール・マスから、自社経営の農園で取れたパーム油の精製技術の開発で打診を受けたのがきっかけ。われわれが開発したものに、石油などの液体燃料に、直径がナノ(1ナノは10億分の1)級の水の粒子を添加して燃焼効率を高め燃費を削減するナノエマルジョン燃料がある。その頃、欧州企業から植物油でエンジンを動かしたいとのニーズが高まっており、新潟原動機(東京都千代田区)と共同で普通のエンジンで使える植物油の改質技術に関する研究開発を進めていたのが良かった」
--液体バイオマス発電は既に確立されているものか
「そうだ。昨年3月、日本内燃力発電設備協会が『自家発電設備へのバイオ燃料利用に関する調査』と題した報告書を出した。280ページに及ぶ報告書の中で、液体バイオマス発電に使われる植物油ナノエマルジョン燃料について、約20ページにわたって紹介されている。実用化レベルに達しているとして紹介されたのはナノフュエルだけだった」