かわいいネコやイヌといつまでも一緒に暮らしたい。飼育環境が改善しペットの高齢化も進む中、ペットと入居できる高齢者向け住宅が好評だ。高齢ペット向けの商品も相次ぎ登場している。「ネコ人気」が高まる一方で無責任な飼い主もいる。捨てネコなどを保護するためのシェアハウスも注目されている。
老人ホームや高齢者向け集合住宅を運営する「生活科学運営」(東京)は、埼玉、愛知両県などの27施設のうち、18の高齢者向け住宅でペットとの同居を認めている。現在25世帯がイヌやネコを飼う。
◆入居者と会話弾む
同社は高齢者自身の暮らし方や住環境に関する要望に合った施設を提案。埼玉県ふじみ野市の集合住宅でネコの空と暮らす北尾可代子さん(76)は「ペットと入居できると聞いて即決した。空ちゃんのおかげで他の入居者やスタッフとの会話も弾む」と笑顔で話す。
入居者がペットの世話をすることが原則。動物が苦手な人もいるため、隣室や上下階に住む人の事前承諾が必要といった規定を設けている。
ユニ・チャームが2015年に発売した20歳前後(人間だと90歳前後に相当)の高齢ネコ向けフードの売れ行きが好調だ。高齢になると腎臓病を発症したり、かむ力が弱くなったりすることに配慮。過剰摂取が腎臓の負担になるリンの量を抑制するなどし、粒やフレークを舌でさらえやすいサイズにした。
同社とペットフード協会によると、ネコの平均寿命は11年の14.4歳から15年は15.8歳に延び、20歳を超えるネコも増えているという。同社のペットフード事業を担当する岡本淳一さんは「高齢のネコを飼う顧客の声がきっかけで開発した。高齢化は今後も進むと予想しており商品展開を拡大したい」と話す。