【高論卓説】工場停止、トヨタ再び正念場 (1/3ページ)

2016.4.20 05:00

 ■地震大国での自動車生産 試される復元力

 4月14日の震度7の地震は、実は前震。16日土曜未明に襲ったのが熊本、大分で続いている地震の本震だった。週が明けると、続々と自動車や電機などの工場の操業休止が決定された。本震後の断続的な地震によって、広い範囲でサプライチェーン(部品供給網)への影響が拡大し、産業界への影響も甚大となる公算が高まっている。

 1次サプライヤーに限らず、被害は2次・3次サプライヤーにも拡大した。交通網寸断、電気供給停止などのインフラ被害が調達活動の困難に拍車をかけている。本震から数日しかたっていない今は、人命救助とライフライン確保が最優先の課題だ。自動車生産に対する本質的影響を測れる状況にはないが、想像以上に影響が拡大するリスクを認識せざるを得ない。

 トヨタ自動車への影響が甚大だ。15、16日に続き、18日以降もトヨタ自動車九州の2製造ラインを停止した。これに加え、19日から国内主力工場17ライン、20日から4ライン、22日から3ラインを休止させ、国内30ラインのうち、合計26ラインが停止する。決定部分だけで約6万台の生産台数を喪失する計算だ。もし、この操業状態が来週を通して続けば、さらに9万台を喪失するリスクがある。

 2月の愛知製鋼の工場火災では6日間の操業停止に追い込まれ、約9万台の生産台数を喪失した。直接的な限界利益の喪失は600億円程度だが、復旧に向けた諸費用を合わせれば、900億円近くの利益減少に結びついた様子だ。今回は、今週分の6万台で500億~600億円、来週も生産停止が続けば合計で1200億~1300億円の減益要因となる。生産の挽回が進めば、喪失した限界利益は回復できるが、使ってしまった諸費用は元に戻らない。

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