【知恵の経営】高機能木炭で倒産危機脱出 (1/2ページ)

2016.5.4 05:00

 □法政大学大学院政策創造研究科教授 アタックスグループ顧問・坂本光司

 島根県出雲市に「出雲土建」という中小企業がある。主な事業は建設工事や土木事業、さらに緑化事業やリサイクル事業も手掛けている。設立は1980年。もともと土木建設会社としてのスタートだったが、その後、事業の多角化と規模の拡大を志向した。

 公共事業の激減や多角化の失敗などもあり、一時倒産の危機に瀕(ひん)している。その折、再建を託されて社長に抜擢(ばってき)されたのが営業の責任者だった、石飛裕司社長である。

 石飛社長は「何としても社員とその家族の生活を守らねば」と営業努力を続けるとともに産学官連携を活用した新商品開発に注力した。そして開発されたのが、主力となった「炭八」というブランド商品だった。

 この商品は、住宅の大きな問題である湿度調整とにおい消しを同時解決する「高機能木炭」である。周知のように以前は、日本の建材として使われている床材や壁紙・合板・断熱材・接着剤などの中に、有害な「ホルムアルデヒド」が含まれていた。一方で、畳には有機リン系農薬が大量に使用され、さらにはカーテンやカーペットにも、防虫剤や防カビ剤・抗菌剤が多く含まれている。これらの物質がアトピーやぜんそくを発生させる要因の一つとされている。

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