4月14、16日と2回も震度7の強い揺れに襲われた熊本地震の影響はまだまだ残っている。被災された方に、心よりのお見舞いを申し上げます。
今回紹介する阿部長商店(宮城県気仙沼市)も2011年の東日本大震災で未曽有の被害を受けた。しかし、現在は見事復活を果たし、その姿は多くの被災企業を勇気づけている。
東日本大震災の際、水産事業部の工場9カ所のうち8カ所が全壊、観光事業部のホテルも半壊する大損害を受けた。残った工場・ホテルも電気・水道といったライフラインが回復しなかったため、2カ月以上にわたり稼働できない状況が続いた。
震災後、幹部社員や役員による経営会議が開かれたが、1人を除く全員の意見は「全員解雇やむなし…。再建ができたら、そのときまた再雇用させてもらおう」というものだった。
ハローワークの担当者にすら「今は事態が事態、全員解雇すべきです。そうしないと、会社ばかりか転職できない社員も苦しめる」と言われたほどだ。
最後まで全員解雇やむなしという意見に頑として首を縦に振らなかったのが阿部泰浩社長だ。最終決断日に幹部社員や役員を前に、阿部氏は次のように説明した。
苦楽を共にしてきた家族同様である社員を誰一人として解雇しない。家どころか家族を失った社員。地域コミュニティーまでも失ってしまった社員の唯一の絆は会社である。