■市場の信頼崩壊、回避へ上場廃止を
東芝が巨額の粉飾決算をしていた問題で、田中久雄・元社長ら歴代3社長の刑事責任が問われない可能性が強まっているという。
明らかな粉飾決算だとする証券取引等監視委員会と、立件へのハードルが高いとみて起訴に慎重な検察当局の見解が対立しているらしい。
東芝が昨年9月に公表しただけでも2008年度から13年度までの6年間に税引き前利益が2781億円もかさ上げされていた。優良企業とみられていた日本を代表する企業の巨額粉飾である。
既に金融庁は昨年12月、東芝が「重要な事項につき虚偽の記載がある有価証券報告書を提出した」として、73億円余りの課徴金を課した。金融庁が認定したのは2年分だけだが、それでも最終利益が1308億円過大に記載されていたとした。法律上は「有価証券虚偽記載罪」である。
ところが、粉飾の事実はあるのに罪を問うべき「犯人」がいない、という不思議なことになっているというわけだ。
歴代3社長は「チャレンジ」など営業の尻をたたいたが、粉飾を直接指示したことはないと主張しているもようだ。実際に粉飾を指示したことが分かる確定的な証拠も検察は手に入れていないようだ。当事者に否定されては到底、裁判が維持できない。