今回は、27、28日に東京都世田谷区にある駒澤大学深沢キャンパスで開催される、「人を大切にする経営学会」の第3回全国大会の内容の一部を紹介する。
昨年9月12日、13日に開催した第2回全国大会は「『人を大切にする経営』は企業業績を高めるか」を統一テーマに議論が行われた。
今回の統一テーマは「『人を大切にする経営』が日本を創生する」とした。それは、イギリスの欧州連合(EU)離脱や、世界各地で頻発している無差別テロ問題など、世界経済はもとより、わが国経済の先行きもなお一層、不確実・不安定化する中、どんなに時代が厳しくとも、わが国の企業一社一社が、「人を大切にする経営」を愚直一途に実践することが、新しい日本ばかりか、世界の創生・世界の人々の幸せの実現の要と考えるからだ。
1日目の特別記念講演では、帝国ホテルの代表取締役会長である小林哲也氏が講演する。もしかしたら、人を大切にする経営と帝国ホテルが結びつかない読者もいるかもしれない。しかし5年前の2011年3月11日に発生した東日本大震災の際の帝国ホテルの対応を知れば、納得してもらえるはずだ。
震災当日は筆者も東京にいたが、地震の影響であらゆる交通機関が完全にマヒ状態となり、街は数多くの帰宅難民であふれ返った。タクシー乗り場は長蛇の列、運よく乗れても道路は大渋滞という状況で、大多数の人がトイレや空腹、寒さを我慢しながら歩き続けるしかなかった。