ナイジェリアで必需品の「味の素」が品不足に 原油安によるドル不足で輸入できず

 ナイジェリアの食卓に販路を広げた“日本生まれの味”が店頭から姿を消した。原油安に伴い産油国のナイジェリアは極端な外貨不足に陥り、うま味調味料、味の素の輸入が難しくなっている。

 味の素の現地法人の和田見大作社長らによると、味の素がナイジェリアに本格進出したのは二十数年前。低所得者層にも手が届くよう小さな袋入りの商品を10ナイラ(約3円)で販売、現地料理に幅広く使われ、消費者の裾野を拡大した。売り上げは年間100億円を超え、うま味調味料でのシェアは9割以上という。

 同国北東部ではイスラム過激派ボコ・ハラムがテロを繰り返しているが、安全な場所まで取引先に来てもらい供給を続けてきた。

 現地法人は、大規模な工場があり輸送距離も短いブラジルから輸入し、ナイジェリアで包装してきた。外貨不足に伴い、輸入に必要な米ドルが手に入らなくなってしまった。手元のナイラはだぶついており、和田見社長は米ドルに替えようと銀行と交渉を続けている。(共同)