27、28日にケニアで開かれる第6回アフリカ開発会議(TICADVI)を前に、日本の官民が第三国と連携し、アフリカ市場の拡大を進めている。アフリカ諸国の旧宗主国で、高い知見を持つフランスなどと協力し、投資回収や治安などにかかるリスクの軽減につなげる狙いだ。中国資本の進出が続くアフリカで、日本の官民は地域に根ざした事業展開を図る。(上原すみ子)
豊田通商は2012年に買収した仏大手商社CFAOを通じ、昨年12月にコートジボワールの最大都市アビジャンに大型ショッピングモールを開業した。仏流通大手カルフールとの合弁で、今後は同国内に4店舗を開設するほか、20年にもガーナやカメルーンなどアフリカの8カ国に出店する考えだ。
さらに、豊田通商はアフリカ最大級の物流網を持つ仏複合企業ボロレとの協業により、インフラや物流などの分野で共同事業を検討する。豊田通商の服部孝専務(アフリカ統括)は「仏企業の強みは、長年培った販売網と治安対策。特に社員と家族の安全は、最大の経営課題だ」と述べ、仏企業との連携による市場の開拓に期待を寄せる。
このほか、豊田通商はアフリカでの人材育成を目的に、ケニアで「トヨタケニアアカデミー」を14年に設立。国際協力機構(JICA)の協力で農業技術研修を行うほか、9月からはトヨタ式の「カイゼン」講座や日本語教育も始める。中国企業にない「人材育成」のアプローチで、日本企業の存在感を高める考えだ。