
試験走行中のヌートノミーの自動運転タクシー=8月24日、シンガポール(AP)【拡大】
□日本電動化研究所代表取締役・和田憲一郎
最近のニュースを見て「あぁ、なるほど!」と思ったことがある。それは、米国のスタートアップ企業ヌートノミー(NuTonomy)が、シンガポールで世界初の自動運転タクシーの公開試験を開始したとニュースを聞いた時である。ヌートノミーは、マサチューセッツ工科大学(MIT)からスピンアウトした企業であり、自動運転車とモバイルロボット技術に特化しているとのことだ。
なぜ興味を持ったかと言えば、世界初の自動運転タクシーを実施したのが米国でもなく、欧州でもなく、シンガポールだからである。
◆なぜシンガポールか
シンガポールは、ご存じの方もいるかもしれないが、とにかく新しいものが大好きのお国柄である。特に「世界で初めて」というと、すぐに飛びつく傾向がある。背景として、人口540万人の小国ながら、金融立国で公用語が英語のため、アジア地域における情報発信ハブのような役割を果たしている点がある。金融に限らず、最新・最先端を情報発信することに誇りを持っている。例で言えば、ショルダーバッグ型携帯電話、さらには小型化された携帯電話も最初に普及し始めたのがシンガポールと香港であり、その後に日本など世界各地に火がついた。