
情報セキュリティー会社の人材育成セミナー=7月、東京都千代田区【拡大】
情報セキュリティーに携わる人材を増やそうという動きが官民挙げて進む。サイバー攻撃の被害が深刻化、企業や団体は対策を迫られ、IT企業も社内教育を強化している。2020年の東京五輪・パラリンピックを見据えた動きだが、「数より質」をどう確保するかなど課題は多い。
情報セキュリティー会社ラック(東京)は7月、企業や行政機関でシステム監視などを担当する約80人を対象に、人材教育をテーマにしたセミナーを開いた。「必要性は理解しているが、何をすればいいのか分からない」という悩みへのヒントを伝える試みで、会場は満席だった。
長谷川長一理事は「知識や技術は大事だが、それだけでは実践的なスキル(技能)にはならない」と説明。攻撃の模擬演習などを通じ、経験を積む重要性を訴えた。
警察庁によると、15年に全国の警察へ寄せられたサイバー犯罪などの相談件数は約12万8000件で約8万件だった11年の1.6倍。政府機関や防衛産業だけでなく、ネットサービスや旅行会社でも相次いで不正アクセスの被害が発覚し、脅威が身近になった。