
地域の発酵食品を前に、研究の内容を語る東工大の山田拓司准教授【拡大】
腸内環境を改善する“腸活”がブームになって以来、健康と美容の観点からも発酵食品が注目を集めている。発酵食品は、チーズやヨーグルトなど海外発祥のものもあるが、日本には古来からみそやしょうゆ、漬物など多くの食品や調味料がある。これらには地域独自の味わいを持つものも多く、地域の食文化の一つとなっている。こうした発酵食品の持つ力を科学的に解明することで、食を通じた地域のブランドアップにつながる。
ぐるなびは、東京工業大学と発酵食品の微生物ゲノムに関する共同研究講座を10月から本格スタートした。この講座は、日本の食文化を支える発酵食品に含まれる菌(微生物)を科学し、食のブランディングにつながることがテーマとなっている。伝統的な発酵食品のなかでも特にみそや漬物、日本酒など多くの発酵食品に影響を与える“乳酸菌”と“麹菌”に着目。それらの遺伝情報を解明すべくゲノム解析を行い、地域ごとに特徴をデータベース化する。これは温泉の効用表のようなもので、菌やそれを使った食品の機能的価値や健康への効果などを科学的根拠によって評価し、将来的には商品開発やパッケージ表記などに活用することも目指す。すなわち、地域によって異なる菌を発見し、その菌で発酵食品をブランド化することが可能になるのだ。