【ビジネスのつぼ】ARUHI「ARUHIスーパーフラット」

2016.12.19 05:00

顧客のさまざまな要望に対し、経験豊かなスタッフが相談に応じている=東京都中央区のARUHI銀座支店
顧客のさまざまな要望に対し、経験豊かなスタッフが相談に応じている=東京都中央区のARUHI銀座支店【拡大】

  • ARUHIスーパーフラットの販売戦略について話し合う今井聡美さん(右から2人目)ら=東京・六本木
  • ARUHIの浜田宏会長兼社長

 ■あだ名で呼ばれたい住宅ローン新商品

 住宅ローン専門金融機関のARUHI(アルヒ)の新商品「ARUHIスーパーフラット」が好調だ。住宅の建築費や購入価額の20%以上を自己資金で用意すれば、最長35年間、従来商品よりも低い固定金利で融資を受けられる。住宅メーカーを問わずに利用できることも喜ばれ、10月3日の販売初日から申し込みがあったという人気ぶりだ。

 12月の実行融資金利は、新規借り入れの場合で年1.00%(団体信用生命保険料なしの場合)。融資金額は100万円以上8000万円以内。住宅の建設費(土地取得費も含む)または購入価格の80%以内で、残りの20%は自己資金で賄うことが前提だ。

 ◆利用条件の幅を狭く

 商品作りを担当したのは、同社商品企画部マネージャーの今井聡美さん(34)。6月に現在の持ち場に異動した直後に言い渡されたのが、この仕事だった。「高めのボールが飛んできたなと感じました」と笑みをこぼす。

 新商品のコンセプトは全国のフランチャイズ店で売れる競争力があることと、幅広い客層が利用できること。しかも、10月初旬の発売があらかじめ決められていた。一般的に住宅ローン商品の開発は1年程度かかるとされているが、9月中に仕上げることを考えると、残りはあと3カ月しかない-。

 上司や商品企画の経験者のアドバイスを受けて、今井さんが考えたのは「利用できる条件の幅をある程度狭めた方が、金融機関側が取るリスクは減り、金利も抑えられる」ということだった。

 そこで、過去1年間の利用者の返済実績を分析するところから着手した。すると、20%の自己資金を用意できる利用者の場合、延滞の事例が圧倒的に少ないことが分かった。

 競争力のある金利を提供するための条件が見えてきたところで、次に今井さんを待っていたのは、住宅金融支援機構や信託銀行、生命保険会社、証券会社、司法書士事務所、債権管理回収会社といった外部組織との交渉だ。

 このうち機構は、民間金融機関から住宅の建設や購入に必要な資金の貸し付け債権を譲り受けたり、貸し付け債権を担保とする債券などに関する債務保証を行っている。機構との間で、新商品の対象年齢などの細部を詰めていった。

 新商品の売り出しには、社内の多くの部署の協力も欠かせない。マーケティング部門のほか、債権管理部門やシステム部門などとやり取りを繰り返した。日中は30分刻みで会議に参加し、その後に通常業務をしていたという。

 ◆競争はヒートアップ

 日銀が1月にマイナス金利政策の導入を決めて以降、国内の市場金利は超長期ゾーンまで大幅に低下した。これにすぐさま反応したのが住宅ローン金利だ。借り換えや新規申し込みを獲得しようと、金融機関同士の競争はヒートアップしていった。「この商品をなるべく早く出さないといけない」。今井さんは焦りを覚えた。

 しかも、2人の男の子を子育て中のため、自宅にいる間もすることがたくさんある。実家の助けも借りながら、平日の朝は子供たちと一緒に朝食を食べ、夜も子供たちと一緒に過ごす時間をつくった。週末の休日は、1週間分の料理を作り置きしたり、掃除をしたりするうちにあっという間に時間は過ぎていった。

 「この商品、絶対に売れると思うよ」「私たちが頑張って売るからね」

 発売日を間近に控えた9月下旬のこと。社内関係者の懇親会で、今井さんはフランチャイズ店舗のオーナーからこんな声をかけられた。今井さんは「これまでで一番苦労した仕事だったけれども、この瞬間に達成感を感じた」と振り返った。

 商品名は、同社の浜田宏社長から「覚えやすくて、日常的に使いやすい名前がいい」とアドバイスされ、決まった。浜田社長は「金利上昇局面では、変動型よりも固定型住宅ローンの方に注目が集まる。お客さまにあだ名で『スーパー』と呼ばれるように早くこの商品を定着させたい」と意気込んでいる。(米沢文)

                   ◇

 ≪企業NOW≫

 ■完済の日まで顧客と接点

 ARUHIは今月5日、住宅ローンの顧客向けの優待サービスを「ARUHI暮らしのサービス」として刷新した。提携先企業の商品やサービスをお得に利用できる。ローン完済の日まで、顧客と接点を持ち続ける狙いがある。住宅ローン専門の金融機関というだけでなく、「住生活プロデュース企業」を目指すARUHIならではの取り組みだ。

 暮らしのサービスの入会金は無料。現在の会員数は約13万人で、毎年約2万人のペースで増えているという。

 5日から、トランクルームとカーシェアリング、パソコンのトラブル解決、家具・インテリアなど、新たに5社の商品・サービスを利用できるようになった。このうち、タイムズ24(東京都千代田区)のカーシェアリングサービスについては、3カ月間無料で利用できる(月額基本料1030円)などの特典がある。このほか、フランスベッド販売(東京都調布市)でも優待価格でベッドやソファを購入できる。5社が加わったことで、暮らしのサービスの提供企業は21社に増えた。2017年中に50社に拡大する計画だ。

 同サービスについて、ARUHIの浜田宏社長は「年間で10万円程度の生活費削減につながるようにしたい。お客さまから『住宅ローンを借りてもうかった』といわれるぐらいのサービスに育てたい」と話している。

                   ◇

 ■ARUHI(アルヒ)

 【設立】2000年6月

 【本社】東京都港区六本木1-6-1 泉ガーデンタワー22階

 【資本金】45億5660万円(16年3月末現在)

 【融資実行残高】2.4兆円(同)

 【従業員数】216人(同)

 【事業内容】住宅ローンの貸し出し・取り次ぎ業務、保険代理店業務、銀行代理店業務

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